【司法試験】答案 民法総合事例演習(第2版)Ⅰ-1

【Ⅰ-1 契約の締結と合意の瑕疵】 

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 こんばんは、今週答案書いてないなー書かなきゃなーと週の頭から思っていたのですが、バイトの都合もありなかなか書けず...水曜日まで引っ張ってしまうことになりました。
 さて、今回は民法総合事例演習のⅠ-1の答案を書かせていただくわけですが、この問題集、某ロースクールの某教授たちが作っていてとてつもなく難しい...(´;ω;`)他のロースクールでは使っていないということもあって需要があるかは不明ですが...とりあえずやっていこうかなと思います。来年以降、改正民法での司法試験になるということもあって改正民法で答案を書いてみることにしたのですが...正直言って全く自信がありません‼そもそも去年までは現行民法でゴリゴリにやっていたので(´;ω;`)一応、問題自体は一通り去年解いているので、それを改正民法版で書き直そうかなという感じです。どなたかに本当に添削をお願いしたい( ;∀;)
 とりあえず、Ⅰ-1の題材は、問1が去年までの給付利得笑、問2が債務不履行解除(瑕疵担保含む)なのですが、債務不履行解除(瑕疵担保含む)についてはこの後の問題でもたびたび登場するところで、加えて改正法の理解もまだ十分でないため、今回は問1のみの答案にしたいと思います。ご了承ください('◇')ゞ


【答案】
第1.
1.Xは、Yに対して、2002年4月1日の代金2500万円とする甲4の売買契約(民法555条、以下本件売買契約とする)の取消しを理由とする原状回復請求権(民法121条の2)を主張することが考えられる。かかる請求を基礎づける為に、Xとしては、①債務の履行としての給付があったこと、②①が無効な行為に基づくものであること、を主張立証する必要がある。
 本件では、①につき、Xは、Yに対し本件売買契約に基づき、2002年4月1日に手付として500万円を、同年5月1日に残代金2000万円を、それぞれ支払っている(①充足)。次に、②につき本件では、錯誤取消し(民法95条1項)、詐欺取消し(民法96条1項)、不利益事項の不告知による取消し(消費者契約法4条2項)に基づき取消す(民法121条)ことが考えられるので、以下でそれぞれ検討する。
2.錯誤取消し
(1)請求原因
 Xとしては、Yに対して、本件売買契約は錯誤(民法95条1項)に基づくものであり、取り消すことができると主張することが考えられる。かかる主張を基礎づけるためには、②-1表意者が法律行為の基礎とした事情についてその認識が真実に反する錯誤があること、②-2前記錯誤が法律行為の基礎とされていることが相手方に表示されていること、②-3前記錯誤が法律行為の目的及び取引通念上の社会観念に照らして重要なものであること、②-4取消しの意思表示、を主張立証する必要がある。
 本件では、本件売買契約が締結された4月1日時点では、XはYとの交渉経過をみても将来にわたって眺望のよい建物を購入する効果意思をもって契約を締結していることは明らかであり、その点につき錯誤が存在する(②-1充足)。次に、XがAに甲4からの眺望についての発言をしていること、3月15日に「眺めが…います」と発言していることからすれば本件売買契約が将来にわたって眺望のよいことが動機(基礎)とされていることをYに表示していることに疑いはない(②-2充足)。また、甲4の価格が同程度のマンションより1割程度高いことが眺望のよさに起因している以上、眺望についての錯誤は取引通念上の社会通念に照らしてみても重要なものである(②-3充足)。7月1日、Xは、Yに対し代金2500万円の返還を求めている(②-4充足)。
 したがって、かかる請求は認められる。
(2)抗弁以下
 かかる請求に対し、Yとしては、当該錯誤がXの重大な過失によるものである(民法95条3項1号)と主張し、これを根拠づける事実を主張することが考えられる。これに対しXとしてはこれを障害する事実を主張することが考えられる。重過失とは、当該意思表示をした状況のもとで、取引に応じてごく当然に要求されることをしなかったことを意味するところ、本件ではXにそのような重過失を認定できる事実はない。
3.詐欺取消し
(1)請求原因
 Xとしては、Yに対し、本件契約が詐欺(民法96条1項)に基づくものであり、取り消すことができると主張することが考えられる。かかる主張を基礎づけるために、Xとしては、②-1違法な欺罔行為があること、②-2表意者が前記行為により錯誤に陥り意思表示をしたこと、②-3それぞれに対応する故意、を主張立証する必要がある。
 ここで、②-1につき、違法な欺罔行為とは社会通念上許容される限度を超える行為を意味するが、沈黙による詐欺が認められるか問題となる。不作為による詐欺を認めるには前提として作為義務が必要となるが、欺罔者が専門家であるような場合には他者加害の禁止及び専門家との情報力格差を根拠に情報提供義務を肯定しうる。
 本件では、Yは不動産の専門家ではなく信用金庫であり、その社宅の整理を行っていたのであり、情報提供義務を肯定することは難しい(②-1不充足)。
(2)したがって、Xは、Yに対し、詐欺取消しを主張することができない。
4.不利益事実の不告知
(1)請求原因
 Xとしては、Yに対し、本件契約は不利益事実を告知せず行われたものであるから、取り消すことができると主張することができると主張することが考えられる。かかる主張を基礎づける為に、Xとしては、②-1Yが事業者(消費者契約法2条2号、以下法とする)にあたること、②-2Yが本件契約を締結する際に、②-3重要事項又は当該重要事項に関連する事項(法4条5項)について、②-4利益となる事項を告げ(先行行為)、②-5不利益となる事項を告げなかったこと(法4条2項)、②-6②-4についてのYの故意、②-7Xが前記行為により錯誤に陥り意思表示をしたこと、②-8取消しの意思表示をしたこと、を主張立証する必要がある。
 ②-6につき、Yの故意の内容としては、Xにとって当該事項が不利益であること、Xが当該事項を知らないこと、が必要となる。
 本件では、Yは信用金庫であるので法人の契約当事者として事業者にあたる(②-1充足)。4月1日の時点で(②-2充足)、甲4の眺望がどのようなものであるかは本件契約を締結するにあたって、甲4の質、用途、その他の内容に該当し、Xの契約を締結するかどうかの判断に通常影響を及ぼすもの(法4条5項1号)にあたるといえるから重要事項にあたる(②-3充足)。Yは、Xに対し、甲4が眺望が抜群であることを告知する一方で、本件契約以前の3月10日の時点で不動産業者Kに乙の払い下げを行う方向で手続が進められていたことを告げなかった(②-4,5充足)。YはXとの交渉過程でXが甲4からの眺望を妨げないことを前提としていることを知っているのだから、乙がKに払い下げられ、高層マンションが建つことをXが知らないことを知っていたはずであるし、当然払い下げがXにとって不利益であることも知っていた(②-6充足)。Xは払い下げの手続の開始の事実がないとの錯誤に陥り、それに基づき本件契約の意思表示をしている(②-7充足)。7月1日、Xは、Yに対し、2500万円の返還を求めている(②-8充足)。
(2)したがって、かかる請求は認められる。
第2.債務不履行解除を理由とする原状回復請求権(2a部分
第3.瑕疵担保解除を理由とする原状回復請求権(2)b部分
以上


【ひとこと】
 あ~つかれた('_')そもそも錯誤取消しというワードになれない。昔、錯誤取消しが~と言っていた学部生をバカにしていたことを思い出しました笑
 問1の改正法部分のポイントですが不当利得のうち少なくとも給付利得については衡平説ではなく類型論が採用されるということで121条の2が作られたということですね。また、この問題には出てきていないですけれども給付利得の処理について受領後の利息・果実の返還については従来から学説が分かれるところで解釈に委ねられているようです。
 錯誤についても、動機錯誤が動機表示構成で明文化されており、要素の錯誤(客観的重要性+主観的因果性)と従来されていた部分も法律行為の目的…以下の部分で明文化されています。慣れない...というか答案が条文の書き写しみたいになるんやけどこれでいいんだろうか...( ;∀;)(あとから読み返すと重過失のところの事実を全く拾ってないですね...これはいけない)
 消費者契約法の部分については、不利益事実の不告知だけでなく、不実告知による取り消しも考えられるところですがめんどくさくて答案が冗長になるのでやめました。
 こんなとこかな...今週末は出かける用事がありまして、次の答案は来週になるかなぁという感じです。始めたてなのにさぼり気味はよくない( `ー´)ノ来週は行政法あたりか商法かで迷っています...ではまた。

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